●words from SAYOKO
●第一章 自然な光を再現する
●第二章 人を美しく見せる照明
●第三章 日本の明かり
●第四章 グリーナウェイの撮影現場で
●第五章 若者よ、TVを捨て海外に出よう
仲西祐介●YUSUKE NAKANISHI
映像、舞台、空間演出と、幅広いジャンルで光と影の演出に携わる照明家。旅好きで、これまでに21ヵ国を巡ってきた。もともと演出などを手がけていたが、自分の好きなように演出したい、と店を持つことを考え、メキシコのピラミッドの上で蕎麦屋になろうと決心。その資金集めのバイト中に声をかけられ、照明家に。その場にある光を捉えて効果的な照明を行い、自然な空間を創りあげる。

祐介さんはこの「蒙古斑革命」の撮影でも照明として参加していただいていますが、その光の演出を初めて見たときには驚きました。これまでたくさんの照明家の方たちとお仕事をさせていただきましたが、たいていの撮影現場では、電球やレフ板など専用の照明機材を用いて光を当てていきます。でも、祐介さんはそうした機材を使わずに、その場にある光を巧みに捉えて光を作っていったのです。

たとえば、ストーブの小窓からもれる炎の明かりや、窓から差し込む光、遠くのドアの隙間からこぼれて入ってくる光、あるいはブリキのゴミ箱の蓋に反射した光など。その場にある光をうまく捉えて組み合わせていくうちに、優しさのこもった光が生まれて被写体が浮かび上がるーーそれがすごく印象的でした。

作られる光も温かみのある自然な光ですが、ご自身も自然体。キャパシティが大きく、自分の中にある時間軸がゆったりとした方です。

都会に生きて時間に追われたりすると、なんとなくハラハラドキドキしがちですが、彼はまったくそういうことを感じさません。自分の中にゆったりとした時間軸をお持ちなのでしょう。そして「こっちにおいでよ」と軽く手招きするように、私たち撮影隊を、そのゆるやかな落ち着いた時間に導いてくれるのです。

ものごとを常にポジティブに捉え、ゆったりしと大きな祐介さんの姿を見ていると、なにか、アフリカのサバンナに沈む大きな太陽や、夕日の赤い光みたいなものを、いつも感じてしまうのです。


   
    
 



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