●words from SAYOKO
●第一章 箏の可能性への目覚め
●第二章 ジョン・ケージに受けた影響
●第三章 「共鳴」
●第四章 力強い音の生まれる源
●第五章 揺らぐアジアの音の心地よさ

八木美知依●MICHIYO YAGI
倉内里仁、故沢井忠夫・沢井一恵の両氏に師事し、1980年代後半から箏奏者として活動を開始する。米国ウェスリアン大学に1年間客員教授として赴任。その間、ジョン・ゾーン、クリスチャン・ウルフなどの初演を手がける。以来、ソロ活動はもちろん、 「KOKOO」などのグループや、古典、現代音楽、ジャズ、ポップなど、内外を問わずさまざまなジャンルの多彩なアーティストと競演し、ダイナミックかつ独創的な演奏を披露。箏、二十絃、十七絃奏者として世界中を駆けめぐり、楽器の可能性を広げ続けている。9月上旬世界初、十七絃箏の全自作自演CD「Seventeen」をリリース予定。

 琴のライブでパフォーマンスをしないか、という話があったのが、八木さんとの最初の出会いでした。初めてその音楽を耳にしたとき、それまで聴いていた箏の音色とはまったく違ったものがそこにはありました。古典から現代音楽やジャズに向かった箏奏者はたくさんいらっしゃいます。が、その誰とも違うエネルギーが、そこには詰まっていたのです。
それから本番までのしばらくの間、常に八木さんの音を聴いて生活をしていたのですが、同じ曲を何回聴いても、毎回、常に新しいイメージが湧いてくるのも驚きでした。なおかつ、自分の動きが自然に見えてくるのです。

実際、お目にかかると、決して特別な感じのする方ではなく、エレガントで可愛らしい女性です。しかし、ひとたび箏を弾かれるとその印象が一変します。大地から湧きあがるエネルギーのような、男性的なまでに力強い世界が生み出されるのです。日本の女性が箏という伝統的な楽器で、新しい世界を創りさらに研ぎ澄まそうとしている。それを多くの方たちに知って欲しいと思い、ご登場願いました。

 その後、親しくさせていただくようになったのですが、心の奥底に抱えている世界観に何か共鳴しあうものがあると、お互いに言葉にはならなくても感じるようになっていました。今後もコラボレーションは続けていきたい、そこで何が私たちのいちばん形になり得るものかを探っていきたい、と考えています。

音楽も一つの言葉だから、ほんとうは話す必要はないのかもしれません。でも、それを言葉に置き換えたときに、どんなふうに揺れ動いてゆくのかを知りたくて、今回、お話を伺いました。八木さんの生み出す音の世界にある男性的な力強さや女性的な繊細さが、どういうところから生まれてきているのか、少し見えたような気がします。
   
    
 



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