●words from SAYOKO
●第一章 一瞬のドラマを創る
●第二章 日本を求めてパリへ
●第三章 三島由紀夫ラブ
●第四章 夢のあるファッションよ再び
●第五章 現世は夢、夜の夢こそ真
 
   
第四章 夢のあるファッションよ再び

山口 様式美のあるファッションもお好きでしょう。デザイナーで言ったらどんなファッションがお好きですか。
下村 サンローラン。美しいですね。
山口 彼も色の使い方やフォルムの出し方とか、様式美のある最後のデザイナーですよね。他には?
下村

クロード・モンタナとか、ピエール・カルダンとか、ティエリー・ミュグレーとか。

山口 なるほど。クラシックなものがお好きなんですね。
下村

あと、60年代の宇宙ルックがすごく好きなんです。というのは、科学が夢を見た時代だから。今はいろんなことがわかってきて、ゴミの問題やオゾン層の破壊や、どちらかというとネガティヴな方向に向かってしまっている。もちろん一人一人の精神で未来は作るものだと思いますけれど。
でも60年代の未来ルックや宇宙ルックって、もう少し夢があるじゃないですか。未来って明るいじゃない、と問いかけるような。その辺りを表現した、ピーエル・カルダンやパコ・ラバンヌ、クレージュの世界が好きですね。これも様式美になるかもしれませんけれど。

山口 そういうファッションはまた戻ってきたりするのかしら。
下村 今のコレクションはそんな感じらしいですよ。それでシルエットが80年代なんです。面白いでしょう。ちょっとボディコンぽいAラインやサンローランのモンドリアンとか、いわば宇宙ルックのセクシー版。バレンシアガを始めとして何社かやっていますけれど、面白いですよ。
山口 なるほどね。60年代プラス80年代なのね。
下村 60年代と80年代ってちょっと似ていると思うんです。若者に元気があって60年代に憧れた人たちが80年代を生きたというか。興奮の時代というのかな、ずっとイケイケーーーっていうような。さらに言えば60年代と30年代にも共通するものがあって、30年代のチャールストンなんかに憧れた人が、60年代にアングラを手がけた、というか。
山口 ジョン・ガリアーノは?
下村

素晴らしいですね。

山口 あそこまでやり続けている、アイデアを形にしているというのはすごいですね。
下村

他を見て思うんだけれど、パリ・コレクションが一時ほど華やかではなくなった、というのは感じますね。モデルさんたちも表現者じゃなくなってしまったのかな。機械的になってしまっていて。
ビジネスはビジネスなんだけれど、そこに昔は夢があったと思うんですよ。今はそれよりももっとわかりやすいビジネスーープロダクトになってしまったから。その中において、ガリアーノというのはちゃんと見る者に夢を与えていますよね。

山口 彼とイギリスのアレクサンダー・マクィーン。この二人は夢をきちんと与えてくれるから素晴らしい。
下村

またファッションは面白くなるんじゃないかと思います。マーケティングが連呼されていた頃はお腹いっぱいだったし、90年代後半以降のファッションって、ぼくにとってはあまり面白くなかったんです。
これだけ美容雑誌が増えたのも、ファッションに夢がなくなったからではないかと思うし。お化粧品は服に比べて安いじゃないですか。安く、しかもその人の顔に合わせたオートクチュールが簡単にできる。そういう理由で美容雑誌が増えたけれど、今やある種、飽和状態で。
そのときに何が残るの、と考えたら、また新しいデザイナーの人たちが出てくるような気がします。

山口 もう少し後に面白い人たちが出てくる兆しがある、ということですか。それは楽しみですね。


    
 



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