| 山口 |
様式美のあるファッションもお好きでしょう。デザイナーで言ったらどんなファッションがお好きですか。 |
| 下村 |
サンローラン。美しいですね。 |
| 山口 |
彼も色の使い方やフォルムの出し方とか、様式美のある最後のデザイナーですよね。他には? |
| 下村 |
クロード・モンタナとか、ピエール・カルダンとか、ティエリー・ミュグレーとか。
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| 山口 |
なるほど。クラシックなものがお好きなんですね。 |
| 下村 |
あと、60年代の宇宙ルックがすごく好きなんです。というのは、科学が夢を見た時代だから。今はいろんなことがわかってきて、ゴミの問題やオゾン層の破壊や、どちらかというとネガティヴな方向に向かってしまっている。もちろん一人一人の精神で未来は作るものだと思いますけれど。
でも60年代の未来ルックや宇宙ルックって、もう少し夢があるじゃないですか。未来って明るいじゃない、と問いかけるような。その辺りを表現した、ピーエル・カルダンやパコ・ラバンヌ、クレージュの世界が好きですね。これも様式美になるかもしれませんけれど。
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| 山口 |
そういうファッションはまた戻ってきたりするのかしら。 |
| 下村 |
今のコレクションはそんな感じらしいですよ。それでシルエットが80年代なんです。面白いでしょう。ちょっとボディコンぽいAラインやサンローランのモンドリアンとか、いわば宇宙ルックのセクシー版。バレンシアガを始めとして何社かやっていますけれど、面白いですよ。 |
| 山口 |
なるほどね。60年代プラス80年代なのね。 |
| 下村 |
60年代と80年代ってちょっと似ていると思うんです。若者に元気があって60年代に憧れた人たちが80年代を生きたというか。興奮の時代というのかな、ずっとイケイケーーーっていうような。さらに言えば60年代と30年代にも共通するものがあって、30年代のチャールストンなんかに憧れた人が、60年代にアングラを手がけた、というか。 |
| 山口 |
ジョン・ガリアーノは? |
| 下村 |
素晴らしいですね。
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| 山口 |
あそこまでやり続けている、アイデアを形にしているというのはすごいですね。 |
| 下村 |
他を見て思うんだけれど、パリ・コレクションが一時ほど華やかではなくなった、というのは感じますね。モデルさんたちも表現者じゃなくなってしまったのかな。機械的になってしまっていて。
ビジネスはビジネスなんだけれど、そこに昔は夢があったと思うんですよ。今はそれよりももっとわかりやすいビジネスーープロダクトになってしまったから。その中において、ガリアーノというのはちゃんと見る者に夢を与えていますよね。
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| 山口 |
彼とイギリスのアレクサンダー・マクィーン。この二人は夢をきちんと与えてくれるから素晴らしい。 |
| 下村 |
またファッションは面白くなるんじゃないかと思います。マーケティングが連呼されていた頃はお腹いっぱいだったし、90年代後半以降のファッションって、ぼくにとってはあまり面白くなかったんです。
これだけ美容雑誌が増えたのも、ファッションに夢がなくなったからではないかと思うし。お化粧品は服に比べて安いじゃないですか。安く、しかもその人の顔に合わせたオートクチュールが簡単にできる。そういう理由で美容雑誌が増えたけれど、今やある種、飽和状態で。
そのときに何が残るの、と考えたら、また新しいデザイナーの人たちが出てくるような気がします。
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| 山口 |
もう少し後に面白い人たちが出てくる兆しがある、ということですか。それは楽しみですね。 |