●words from SAYOKO
●第一章 一瞬のドラマを創る
●第二章 日本を求めてパリへ
●第三章 三島由紀夫ラブ
●第四章 夢のあるファッションよ再び
●第五章 現世は夢、夜の夢こそ真
 
   
第三章 三島由起夫ラブ

山口 ところで身体を鍛えていらっしゃるようですが。
下村 今の3倍の筋肉をつけるのが目標なんです。
山口 毎日鍛えているの?
下村

毎日、鍛えています! いいですよね、身体を動かすのは。身体を動かす趣味があまりなかったので。自分の趣味が仕事になったところもあるから、そうするといっぱいいっぱいになったときに、身体を動かすことで忘れられることもあるんですよね。単純に疲れて夜ぐっすり眠れたり。だから気持ちいいです。

山口 どうして鍛えようと思ったんですか。
下村

それは三島由紀夫先生に対する敬愛の心からですね。三島さんも文武両道ということをおっしゃっていて。芸術を愛するのであれば身体も、と。三島由紀夫……大好きなんです。

山口 『YASO 夜想 #耽美』の三島由紀夫特集で、切腹する姿のポートレイトをたくさん撮られていたことを始めて知って。切腹マニアだったんだ、とちょっと驚きました。
下村 ぼくも驚きました。切腹という行為になにがしらかのエクスタシーがあったと思うんですけれど。単なる自分のエンディングの演出ではなく、切腹という様式にエクスタシーを見出していたのか、と。
山口 矢頭保さんでしたかしら。三島さんのポートレイトをたくさん撮られていた方は。
下村 矢頭さんは、ああした写真の先駆者ですよね。メイプルソープが黒人男性のヌードを大々的に発表する前に、矢頭さんみたいな方がいるということは、やっぱり日本はすごいんだな、と思います。それらとは少しが違いますが、バロンフォングローデンみたいな方も歴史的にはいらっしゃいましたが。
山口 でも彼は三島さんのことは好きではなかった、と書いてありましたね。
下村

たぶんセクシーじゃないからだと思います。三島由紀夫の身体作りについてはいろいろ批判があって、奥野健男さんが書いていらっしゃるように、武士道とは行っても彼の身体はアメリカナイズされたボディ・ビルの身体であって、サムライではない、と。要するにしなやかさという意味ではバロックなんですよ。装飾なの。

山口 ああ、バロックなのね。文章もそうだし、家もバロックですよね。
下村

あの時代にイタリアから取り寄せた家具を揃える、というのはすごかったんでしょうけれど。彼の中にもナンチャッテ感というのは多分にあったんだと思います。憧れ続けて一体化したように見える美を貫いた、ということなのかなと思います。

山口 なるほど。
下村 そういえば、3日間デートしたことがあるんですよ。夢に出てきて。
山口 あ、夢なんですね。
下村

あまりに好き好き〜〜と思っていたら、夢の中で焼き肉屋さんに連れて行ってくださって。風景もぜんぶ憶えています。銀色の車に乗られていて。
そしたらそこで言ってたんです「みんなぼくのこと死んでるって思っているけれど、じつは生きているんです」って、そういう感じのことを。みんなの心の中に生きています、ということなんでしょうけれど。

山口 『憂国』はご覧になりましたか。
下村 はい、見ました。美しく、重い花火でした。
山口 私も拝見しましたが、切腹という行為や血や肉が能を舞台にして様式されて、ある種の美意識を感じましたね。
下村

SM趣味はないんですが、SMもストイックな世界だったり、様式美の世界ですよね。ヒールを履いて、服もオートクチュールで、その人に合うようにピタっとしあげた皮の服だし。だからぼくはボンデージを着るのも好きです。あれは一種のKIMONOだと思います。
小夜子さんが好きだ、というのも、小夜子さんはすごくパンクの精神を持っていらっしゃる方なんだけれど、様式の美しさも持っていらっしゃる、ということがぼくの美意識に響くんです。。



    
 



Copyright(c) mokohan productions all rights reserved 2005