●words from SAYOKO
●第一章 プレスリーの点描を描く小学生
●第二章 パソコンと出会いデジタル・コラージュへ
●第三章 隙間、亀裂、ひび、塵の美しさ
●第四章 蓄音機でDJ
●第五章 デジタルとアナログの間
 
第四章 蓄音機でDJ

山口 それと私が同時に作品から感じるのは、リズムや音なんです。作品を作っているときに音はありますか?
永戸 作品を作っているときに音はあまり聴かないですね。なるべく無音の中で制作するようにしていますから。
山口 自分の中にあるリズムや好きな音が、自然と作品に投影されている、ということですね。
永戸 そういうことだと思います。作品を作るときに音楽は聴かないんですが、仕事……CDのデザインやアート・ディレクションをするときは、聴くんです。依頼仕事の時は音楽を聴きながらやることも多くて、純粋に自分が作りたいものを作っているときは、比較的に無音の中でやっていますね。
山口 ではCDのデザインをするときは、そのアーティストの音をすべて聴いたり?
永戸 聴くときもありますし、聴かないときもあります。タイミング的に音がないときに作らなくてはいけないスケジュールだったりすることもありますから。逆に音を聴かないでデザインしたほうが、むしろいいジャケットできるな、と思うときもありますね。

作品を作るときには、意識的に情報を制限しているというのもあります。ぼくは他の人の絵もあまり見ませんし。ここ数年、映画なんかもあえて見ないようにしているんです。

山口 最近、好きな音楽はありますか。
永戸 ECMーー Edition of Contemporary Music の略でECMというレーベルがあるんですが、そこの曲を聴いていますね。ドイツ人のマ ンフレッド・アイヒャーというプロデューサーが、ジャズを中心に、他のジャンルのあらゆる音も彼自身のセンスで集めた世界各国の音楽をリリースしているんですけれど。

一定の空気感や世界観、独特の透明感のあるレーベルですね。だだぴろい何もない部屋で流すと気持ち良いですよ。

山口 そういえば、鳥肌実もお好きだとか。
永戸 鳥肌実は……ぼくのアイドルなんですよ(笑)。「演説」を実際に見ているのは2回くらいなんですけれど、CDやビデオ、ぜんぶ持ってる(笑)。大好きなんです。

あと「たま」が好きだったり。解散してしまいましたけど。……というラインナップをあげると、絵と聴いている音と合わない、と言われることもあるんですが、合わないからむしろ必要なんですけれどもね(笑)。

山口 アナログな感じですね。そういえは先日の藤乃屋舞さんとのイベントでも蓄音機がありましたが。
永戸 うちにSP版がいっぱいあるんですよ。だから先日のイベントのときは蓄音機を2台使ってDJをやったんです。たまに同時にかけながら。
山口 どういう音源なんですか。
永戸 音はクラシックや浪曲みたいなもの、昔の歌謡曲、たまにマンボみたいなものがあったり。戦時中のラジオ体操のかけ声だけを延々流しているものとか。演説のレコードもありますよ。ヒトラーの演説なんかすごい値段がついていて一般人に買えるものではないですけれど。

蓄音機自体が1935年から1950年くらいまで作られていましたから、だいたいその辺りの音ですね。今、いろいろ買い集めていて。それを一人で聴いたりして、悦に入ってます。



    
 



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