●words from SAYOKO
●第一章 突如絵を描き始めた「突然変異」
●第二章 味や匂いまで感じさせる絵
●第三章 ファッション、ダンス、そして絵を描くということ
●第四章 美しく不思議なヴィジョン
●第五章 夢のかけら
横尾美美●Mimi Yokoo
東京生まれ。横尾忠則を父に持つ芸術一家に育ち、雑誌『広告批評』の表紙を2年担当したのを契機に本格的に絵の世界へ。95年に初めての個展を開催。弾けるような鮮やかな色彩が横溢し、ビーズを使ったりオブジェと組み合わせたりデジタル加工したり、幾重にも手をかけ細密画のように緻密に描き込まれたその絵は、描かれた花や鳥、動物や食物それ自身が生命をもった有機体のように迫り、幻想的でありながらリアルな迫力で五感すべてを刺激する。イッセイ・ミヤケの“プリーツプリーツ”に作品がプリントされるなどファッションとのコラボレーション作品も。絵を担当した絵本に『三位一体の神話』(ぽるぷ出版)、『ふりかけ』(福音館書店)など。今年の5月に初の画集『横尾美美画集 1993-2006』(青幻舎)を出版。

お父様である横尾忠則さんとは、仕事を始めとする様々な関わりがあったこともあって、美美さんご自身も小学校に通われていた頃から存じ上げていました。それほどたくさん会話を交わしてきたわけではないのですが、折につけ印象的な場面や出来事で遭遇したり、お互いの変化や考えていることもなんとなくわかりあっている、そんな長いおつきあいになります。

美美さんの絵には食べ物が登場することも多いのですが、そうした絵を見ていると「味」を感じます。それは「美美さんならではの良さ」という意味での「味」ではなく、実際にリアルな「味」を。たとえば甘さであれば、その甘さの質や強さまでが伝わってくる。絵そのものは決してスーパー・リアルに描かれたものでもないのに、なぜかそこにリアルな味や香りを感じてしまうのです。

他のアーティストの作品でこうした経験をしたことはないので不思議に思っていましたが、他にも香りを感じるという方がいたり、やはり彼女の絵にはとても面白い力があるのだと思います。今回お話を伺って、視覚だけにとどまらず五感すべてが刺激されるような不思議な力の秘密を、少し覗けたような気がします。

独特の豊かな色彩、幾重にも描き込まれた緻密な描写、音楽が聞こえてくるようなリズム感ーー引きこまれるような小宇宙が広がる美美さん独自のスタイルはこれからも貫いていって欲しいと思います。また、そのスタイルをお好きなファッションの分野に広げられても面白いものを生み出してくれるのではないか等々、いろいろな可能性も想像できて、これから先の活躍がますます楽しみです。


    
 



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