●words from SAYOKO
●第一章 あまりにも自然にミュージシャン
●第二章 音楽家としての目覚めたフルートとの出会い
●第三章 ネオ・チンドンかぼちゃ商会と
●第四章 ゴールデン街に流れるフルートの音
●第五章 日仏2つのルーツを大切に
 
ネオ・チンドンかぼちゃ商会と

山口 そのチンドン屋さんの「かぼちゃ商会」とはどういう出会いだったんですか。
MAYA 出会ったのは渋谷の「青い部屋」という戸川昌子さんのお店だったんですけれど。戸川ママにはほんとうにお世話になっていて、ある日「面白いバンドがいるから来ない?」という電話があって行ってみたら、戸川さんのバックにかぼちゃ商会というチンドン屋さんが演奏していたんです。
もう15年もやっている素晴らしいバンドで、それを聴いてものすごく感動して。おまえはこのバンドに入らなくてはいけない、という天の声が聞こえてきて(笑)。
それで話をしていたら、彼らが「フランスに行こう」という話をしていたので、冗談半分で「私、通訳しますよ」と言ったら、「いや、来るんなら楽器を演奏しないと」「でもフルートだとストリート音楽に向いていないからサックスをやれ」と言われて。それでサックスを始めたんです。で、始めて1ヵ月後にフランスに行っちゃいました。
山口 チンドン屋さんと言うと、最近は見ないけれど……。
MAYA 昔は東京にも大阪にも結構いたらしいですけれど、今はすごく減ってしまって。もともとのチンドン屋さんって、街を練り歩きながら、鉦と太鼓のチンドンという楽器をチキチキドンドン鳴らし、ビラを配って、クラリネットやサックスみたいなものを吹いて、いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、という宣伝をしますよね。
私たちがやっているのは、そのチンドン屋の面白いところだけを引き継いだ、いわばチンドンの進化版です。ネオ・チンドンというジャンルがあるんですけれど、チンドンという楽器もあるし、ゴロスという太鼓もあるんだけれど、それにホーンが入って、ちょっとファンファーレな雰囲気でやっています。
宣伝業としてのチンドン屋の営業もやっているけれど、バンド活動としてふつうのライブ・ハウスやクラブで演奏したりもしています。
山口 ああ、じゃあほんとうに新しいことをしているバンドなんですね。
MAYA アメリカに行ってジャズを勉強してきた子とか、音楽大学に行っていた子たちが、チンドンは面白い、もう一回新しい物を作ってみよう、と結成したバンドなんです。でも、自分たちのルーツを大事にしながらも、新しいものを作る。アイデンティティを大事にしているのかな。
山口 男の人がだいたいカツラをかぶって白塗りをして着物を着て、ピエロのような格好をした人もいて、というイメージなんだけれど、「かぼちゃ商会」ではどういう衣装なんですか。
MAYA 彼らはオシャレですよ。私は派手は派手だけれど普通の服で。
山口 具体的にはどんな感じの音楽なんですか。
MAYA ベースはチンドンとゴロスしかないんですけれど、なんでもできちゃう太鼓だから。ワルツもできればファンクもできるし、スカっぽいものもできてしまう。メロディも結構、ホーンが多いから、ジャズっぽいハーモニーを作ったり。でもリズムのベースがチンドン。だからヨーロッパでは大受けでした(*1)。
不思議にかぼちゃ商会というのは、フェリーニっぽい雰囲気もあって、どこか寂しげで。だからヨーロッパに行ったときは、見た目は宇宙人かと思われたようだけれど、音楽を聴くと近いものを感じたみたいですね。
(*1)このときのフランス・ツアーの様子は、ピエール・バルー監督によるドキュメンタリー映像としてDVD「サ・ヴァ,サ・ヴィアン(bis…)」で見ることができる。


    
 



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