●words from SAYOKO
●第一章 「東京コンペ#2」優秀賞受賞
●第二章 作った針金アクセサリーを原宿で売った高校時代
●第三章 手相、タトゥ、傷
●第四章 日常をどきどきさせたい、笑わせたい
●第五章 皮膚/肌にこだわりながら
栗原佑実子●Yumiko Kurihara
1980年東京育ち、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科ファッション・デザイン専攻卒。“肌家” を名乗り、「皮膚/肌」をテーマにインスタレーションや写真、身体パフォーマンスの衣装制作などの創作活動を展開。着けるとタトゥのように見える『TATOO Skin』など、ちょっと身につけるだけで日常を非日常に変え、なおかつ身体や自己、世界に対する意識を変容させる、愉快な作品を作り続けている。サンバイザーの模様を通った光がメイクのように顔に影を落とす作品『戯(おど)ける肌』で04年東京コンペ#1ビジュアルアート部門協賛賞受賞、全身に渦巻く文様が描かれたボディスーツのような衣装制作と舞台演出をした『私の 夢の 中に 放たれた 詩』で05年東京コンペ#2ダンス&パフォーマンス部門優秀賞受賞。「カウ・パレード東京in丸の内2006」に指紋と手相紋で押印して描いた『流紋001』出展。今年1月20日から3月19日まで、国立新美術館「黒川紀章キーワードライヴ」に出展。
http://www.hada-ka.com/

若手アーティストの発掘と支援を目的としたアート・コンペティション「東京コンペ」。その第2回目となる05年「東京コンペ#2」のダンス&パフォーマンス部門では私も審査をさせていただいたのですが、そこで優秀賞を受賞されたのが栗原さんです。

栗原さんは皮膚や肌にこだわった創作を続けていらっしゃいます。最終の公開審査となる舞台では、全身に渦巻く文様が描かれたボディ・スーツのような衣装を着たダンサーの方が踊られていましたが、それは衣装というよりは、“身につける皮膚”といったほうがいいもので、緊張感のある演出の中でその存在感は際立っていました。

じつは前々からまるでタトゥのように見える『TATOO Skin』を私も身につけたりしていましたが、審査のときは途中までご本人であると認識できずに、こうした世界を持っていた方なのかと驚きました。今回、お話を伺って、手相をプリントした『運命を着る服』や、傷口を開けるとじつは時計である『傷の時計』、福耳のように見えるイヤリングなど、いかに肌や皮膚にこだわり続けてこられたのかを改めて知ることができました。

人間にとっての皮膚は、肉を覆う単なる皮膜ではありません。傷つけることが自分を確かめてたり、化粧をすることで意識を開いたり。そうした意識や感覚と結びついた皮膚や肌の意味合いを、ちょっとした笑いや驚きとともに考えさせてくれるのが、栗原さん独自の世界なのではないかと思います。

たとえば「タトゥを着る」ということは、これまでにも何人かのファッション・デザイナーの方がやっていらっしゃいます。70年代にはイッセイ・ミヤケさんが刺青のTシャツを作られていますし、沢田研二さんの衣装デザインをされていた早川タケジさんも、ストッキング地を縫い合わせて桜の彫り物のような模様を描いたたボディ・スーツを作られていて、これは私も撮影で着たことがあります。

同じタトゥ・ストッキングでも栗原さんの場合は、30cmの「TATOO Skin」という簡単な小物を身につけるだけで、何らかの違和感やギャップを感じさせ、いい意味で日常を笑ったり、意識を変えるような驚きをもたらしてくれる。

「東京コンペ#2」での受賞を契機に、その独自の世界をさらに広げられたようですが、それがこれからどのように膨らんでいくのか楽しみです。


    
 



Copyright(c) mokohan productions all rights reserved 2006